新薬ができるまでの過程

看護師ならば、新薬がどのような過程を経て世に出るのか持っておいたほうが良いだろう。
薬は世の中に出るまで数年単位の時間がかかる、ということはご存知だろうか。
薬は新しく採取された自然由来の成分や、科学的に構造をデザインされた物質を見つけることから始まるが、そこに至るまでまず年単位の時間がかかることがある。
そうして発見された物質がきちんと病気に対して効果があるのか、という検証を実験室レベルで行う。
ここで安全性が確保できなかったり、生体環境中では期待したような効果が発揮されないことが分かった場合には、物質を探すところからやり直しとなる。
これまでは、この部分での試行錯誤にとてつもなく長い時間がかかっていたが、コンピューターの発達によってデザインが比較的容易になり、21世紀の創薬ではこのプロセスが短縮されている。
生物に投与できるのは、こういった試験を経てからになる。
ヒト以外の動物で効果を確認したり、安全性に問題がないと判断された場合にはヒトに投与できるのだが、まずは少数の患者相手に投与し、それから多数の患者へと投与する、という慎重な多段階のチェックを経て世の中へと出ていくための試験を行う。
この治験とも呼ばれる臨床試験では薬剤の投与による影響を長期にわたって観察することが多く、ここで安全性や効果を確かめている期間でまた数年の時間が流れていくこともある。
薬は安全を確保して世の中へと出ていくことを目指しているため、たくさんの人の協力と膨大な時間が必要になるのだ。